うちの子落ち着きがないんです・・

入会する際に、「うちの子は落ち着きがなくて皆さんに迷惑かけるから入門させたいけどと悩んでいるんです」という親御さんがいます。

 

私は常々「安心してください。私はそれが当たり前だと思っているので大丈夫です。空手を続けていけばば必ず変わります。」と言っています。

 

実は、私も子供の頃は落ち着きがなく怪我ばかりして親を困らせていました。そして、落ち着きがでる様な精神的なことはやっぱり空手から学びました。空手と出会わなかったらどんな大人になっていたことかと思うとぞっとするほどです。

 

なぜ空手をやると落ち着くようになるんでしょうか。それは空手は動物的本能を目覚めさせるからだと思います。落ち着きのない子は、注意が散漫で何かに夢中になっていません。動物というのは何か必要にかられないと集中力が高まりません。

 

動物がもっとも集中力が高まるのは、敵に襲われる時です。敵に襲われそうなときに、集中力が一気に高まり、相手の攻撃を交わし生存率をあげる。これはどの動物にも備わっています。人間にも。

 

空手を始め武道というものは、その領域に立ち入って、動物本来の能力を開発する目的があります。人の社会的生活に動物的な本能は必要ないと思われていますが、実際そうやって退化を拒んでいる身体的反応こそが、「落ち着きがない」という状態なのです。

 

私はこれを学校で学んだわけではなく、空手を通して学びました。たとえば。組み手でムキになって相手の動きを感じられないと、すぐにやられてしまいます。今目の前で起きている事象にダイレクトに反応する。それの連続が組み手で行われます。

 

こういった脳の使い方は他のスポーツでもあるのかもしれませんが、空手は先ほど申し上げた通り、捌く、避ける、蹴る、突く、などの選択を誤ると相手の攻撃を受ける。という恐怖がアドレナリンを出し、そのアドレナリンが落ち着きを取り戻すのです。他のスポーツよりも、いわゆるゾーンに入りやすいのが空手の特徴です。

 

また、礼節と信頼。こういった中からも落ち着くことを学べます。先輩から教えてもらう。後輩に教える。ありがとうございます。とお礼をいう。こう言った中から、自分は集団の中に属しているという安心感を得ます。これが子供を成長させます。

 

空手の型を学ぶ中でも集中力が身に付きます。空手の型や技は、やり方や順番を覚えるだけでも大変です。大変な分考えます。考えながら身体を動かすので自然と集中力が身に付きます。学校の勉強と違い、考えて体を動かすことは、脳から指令を出して手足を動かす。もっと言えば内臓や呼吸をコントロールする。頭ばかり動かしていると熱暴走します。一方頭を使い体を動かすことが自然なのです。動物的なのです。

 

また、私が指導する中でメリハリも重視しています。稽古前と稽古中。稽古前はワイワイガヤガヤしていても、稽古が始まったら、号令でピッと動く。このスイッチの切り替えもやがて自分でスイッチを入れられることへの訓練です。

 

石島道場では、親御さんの見学は基本お断りしています。御父兄が見ていると、子供は甘えたくなって、集中できなくなるからです。親がいない分、自分の事はなるべく自分でやる事を空手を通して学びます。小さな事でも自分でできるようになると自信がつきます。

 

自信がつくと不思議と落ち着きもでてきます。ほんとに落ち着きのない子でも時間は掛かるかもしれませんがコツコツ空手の稽古を続ける事で落ち着きがでます。数年後あの子がこんなに立派になったの!?凄く変わった!なんて事も私は沢山経験しています。

 

お子さんが落ち着きがない。ということで、昨今では発達障害ですとか、注意欠陥障害ですとか、そういう病名をつけて薬を処方している。というようなことを聞きます。

 

それが、本当に子供の精神や体にいいことなのかわかりません。私は空手道という日本に元からある。素晴らしい文化で落ち着きを手に入れることは十分可能だと思っています。

 

石島